平成22年度税制改正大綱

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与党は、12月22日、平成22年度税制改正大綱を決定した。
大綱のポイントは、以下のとおり。

 

1.個人所得課税

(1)諸控除の見直し

 

<国税>

 

1.扶養控除の見直し
  1. 年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の者をいう。以下同じ。)に係る扶養控除を廃止する。
  2. 特定扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳以上23歳未満の者をいう。以下同じ。)のうち、年齢16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25万円)を廃止し、扶養控除の額を38万円とする。
  3. 扶養控除の見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書及び公的年金等受給者の扶養親族等申告書並びに給与所得及び公的年金等の源泉徴収票についてその記載事項及び様式を整備する。
    (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用する。
2.同居特別障害者加算の特例の改組
  1. 扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35万円を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に35万円を加算する。
  2. イの見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項及び当該申告書の提出された給与所得に係る源泉徴収税額の計算の特例を整備する。
    (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用する。

<地方税>

 

扶養控除の見直し
  1. 年少扶養親族に係る扶養控除を廃止する。
  2. 特定扶養親族のうち、年齢16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(12万円)を廃止し、扶養控除の額を33万円とする。
    (注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用する。
同居特別障害者加算の特例の改組

扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の 額に23万円を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に23万円を加算する。
(注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用する。

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(2)金融証券税制
1.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設

 金融所得課税の一体化の取組の中で個人の株式市場への参加を促進する観点から、平成24年から実施さ れる上場株式等に係る税率の20%本則税率化に合わせて、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を導入する(所得税及び個人住民税)。
なお、非課税口座とは、居住者等(その年1月1日において満20歳以上である者に限る。)が、非課税措置の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所に対し、その者の氏名、住所等を記載した非課税口座開設届出書に非課税口座開設確認書を添付して提出することにより、平成24年から平成26年までの各年において設定された上場株式等の振替記載等に係る口座(1人につき1年1口座に限る。)をいう。

 

2.生命保険料控除の改組

<国税>

生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の合計適用限度額を12万円とする。

 

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
  1. 平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」という。)のうち、介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額4万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設ける。
  2. 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ4万円とする。
  3. 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとする。

    年間の支払保険料等      控除額
    20,000円以下           支払保険料等の全額
    20,000円超40,000円以下    支払保険料等×1/2+10,000円
    40,000円超80,000円以下    支払保険料等×1/4+20,000円
    80,000円超             一律40,000円
  4. 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その保険契約等にる支払保険料等を各保険料控除に適用する。
  5. 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用する。
  6. 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」という。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の配分等の金額を按分し、それぞれの支払保険料等の額から差し引く。
2.平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除

平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」という。)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除( それぞれ適用限度額5万円)を適用する。

3.新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算

新契約と旧契約の双方の支払保険料等について、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適 用を受ける場合には、上記イ(ロ)及びロにかかわらず、一般生命保険料控除 又は個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)とする。

  1. 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算した金額
  2. 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した金額
    (注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税について適用する。
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<地方税>

生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の合計適用限度額を7万円とする。

1.平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
  1. 平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」という。)のうち、介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額2.8万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設ける。
  2. 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ2.8万円とする。
  3. 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとする。

    年間の支払保険料等       控除額
    12,000円以下           支払保険料等の全額
    12,000円超32,000円以下    支払保険料等×1/2+6,000円
    32,000円超56,000円以下    支払保険料等×1/4+14,000円
    56,000円超             一律28,000円
  4. 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料
    等を各保険料控除に適用する。
  5. 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用する。
  6. 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」という。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれの支払保険料等の額から差し引く。
2.平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除

平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」という。)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額3.5万円)を適用する。

3.新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算

新契約と旧契約の双方の支払保険料等について、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記イ(ロ)及びロにかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限2.8万円)とする。

  1. 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算した金額
  2. 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した金額
    (注)上記の改正は、平成25年度分以後の個人住民税について適用する。

<国税>

1.上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例について、平成22年12月31日まで適用する措置を講じた上、廃止する。なお、本特例の廃止に伴い、上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例等について次の措置を講ずる。
  1. 自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当に係る大口株主の判定の基準日を、その公開買付けの終了の日とする。
  2. みなし配当のうち上場株式等の配当等に該当するものの支払をする内国法人は、その配当等の支払事務取扱者である金融商品取引業者等に対し、そのみなし配当等の発生の基因となった事由、みなし配当の額等を通知しなければならない。
2.譲渡益課税の対象となる公社債の範囲に、利子が支払われない公社債(割引の方法により発行されるものを除く。)を追加する。
(注)上記の改正は、平成22年4月1日以後に行う譲渡について適用する。
3.保険法の制定により新たに第三分野の保険契約の類型が設けられたこと等を契機に、所得税関係の法令における「生命保険契約」及び「損害保険契約」の範囲について明確化等を図る(相続税、贈与税及び法人税関係の法令並びに地方税関係の法令についても同様である。)
(3)租税特別措置等

<国税>

(廃止・縮減等)

 

  1. 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件を追加した上、その適用期限を2年延長する。
    (注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用する。
  2. 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例について、平成22年12月31日の適用期限の到来をもって廃止するとともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている者に対して本特例を引き続き適用するための所要の経過措置を講ずる。

(延長・拡充等)

 

  1. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
  2. 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
  3. オリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして各競技統括団体から交付される金品について、一定の金額(第1位:300万円、第2位: 200万円、第3位:100万円)までの部分を非課税とするとともに、租税特別措置法に規定されているオリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品の非課税措置と併せて、所得税法に規定する。
    (注1)本非課税措置の適用対象となる各競技統括団体は、文部科学大臣が財務大臣と協議して指定する。
    (注2)上記の改正は、平成22年分以後の所得税について適用する。

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(4)その他

<国税>

 

1.小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講ずる。

  1. 共同経営者が支払った掛金については、その全額を所得控除の対象とする。
  2. 共同経営者が支給を受ける分割(年金)払いの共済金等については、公的年金等控除を適用し、一括払いの共済金等については退職手当等とみなす。

2.中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される同居親族のみを雇用する事業の従業員及びその従業員に係る事業主について、所要の省令改正を前提に、次の措置を講ずる。

  1. その事業主掛金については、事業主の所得の金額の計算上必要経費に算入する(法人税についても同様である。)。
  2. その事業主掛金に係る従業員の給与所得の金額の計算上、収入金額に算入しない。
  3. その従業員が支給を受ける分割(年金)払いの退職金については公的年金等控除を適用し、一括払いの退職金については退職手当等とみなす。

3.確定拠出年金制度について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講ずる。

  1. 企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛金について、その全額を所得控除の対象とする。
  2. 中途引き出し要件の緩和及び資格喪失年齢の引上げ後も現行の確定拠出年金制度に対する税制上の措置を適用する。

4.次の各種手当等について、所得税を課さないこととするとともに、国税の滞納処分による差押えを禁止する。

  1. 子ども手当(仮称)
  2. 高校の実質無償化
  3. 父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当及び一部支給停止制度の廃止により支給されることとなる児童扶養手当
  4. 求職者支援給付(仮称)
  5. 新たに雇用保険制度の対象となる者が支給を受ける失業等給付

5.新たに身体障害者手帳の交付対象者とされる肝機能障害を有する者について、所要の政令改正を前提に、障害者控除の対象とするなど、現行の障害者に対する税制上の措置を適用する(法人税、相続税、贈与税、印紙税、地価税及び国税徴収についても同様である。)。

 

6.厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令の一部改正により、新たに支給されることとなる一時金(特例老齢農林一時金)について、次の措置を講ずる。

  1. 国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止する財産に追加する。
  2. 所得税法に規定する「退職手当等」とみなす。
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2.法人課税

(1)資本に関係する取引等に係る税制
<国税>

企業グループを対象とした法制度や会計制度が定着しつつある中、税制においても、法人の組織形態の
多様化に対応するとともに、課税の中立性や公平性等を確保する観点から、次の見直しを行う。

@グループ内取引等に係る税制
  1. 100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等グループ内取引等に係る税制
    連結法人間取引の損益の調整制度を改組し、100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転(非適格合併による移転を含みます。)を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上する制度とする。これに伴い、適格事後設立制度を廃止する。
    (注)100%グループ内の法人とは、完全支配関係(原則として、発行済株式の全部を直接          又は間接に保有する関係)のある法人をいう。
    1. 100%グループ内の法人間の非適格株式交換等を、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度の対象から除外する。

    2. (注)合併等の対価として一定の外国親法人株式が交付されるものを除く。
  2. 100%グループ内の法人間の寄附
    100%グループ内の内国法人間の寄附金について、支出法人において全額損金不算入とするととも  に 、受領法人において全額益金不算入とする。
  3. 100%グループ内の法人間の資本関連取引
    1. 100%グループ内の内国法人間の現物配当(みなし配当を含む。)について、組織再編税
      制の一環として位置づけ、譲渡損益の計上を繰り延べる等の措置を講ずる。この場合、源泉
      徴収等を行わないこととする。
    2. 100%グループ内の内国法人からの受取配当について益金不算入制度を適用する場合には、
      負債利子控除を適用しないこととする。
    3. 100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡
      損益を計上しないこととする。
  4. 中小企業向け特例措置の大法人の100%子法人に対する適用
    資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、資本金の額若しくは  出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人には適用しないこととする。
    1. 軽減税率
    2. 特定同族会社の特別税率の不適用
    3. 貸倒引当金の法定繰入率
    4. 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
    5. 欠損金の繰戻しによる還付制度
  5. 連結納税制度
    1. 連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の適用対象外となる連結子法人のその開始又は加入前に生じた欠損金額を、その個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に追加する。
    2. 連結納税の承認申請書の提出期限について、その適用しようとする事業年度開始の日の3月前の日(現行6月前の日)とする。
    3. 事業年度の中途で連結親法人との間に完全支配関係が生じた場合の連結納税の承認の効力発生日の特例制度について、加入法人のその完全支配関係が生じた日(加入日)以後最初の月次決算日の翌日を効力発生日とすることができる制度に改組する。

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A資本に関係する取引等に係る税制
  1. みなし配当の際の譲渡損益
    1. 100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しないこととする。(再掲)
    2. 自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度(外国子会社配当益金不算入制度を含む。)を適用しないこととする。
    3. 抱合株式については、譲渡損益を計上しないこととする。
  2. 清算所得課税
    清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行する。その際、期限切れ欠損金の損金算入制度を   整備する等の所要の措置を講じる。
    また、連結子法人の解散を原則として連結納税の承認の取消事由から除外する。
  3. その他
    1. 適格合併等の場合における欠損金の制限措置等について、実態に応じて適用要件を見直す。
    2. 分割型分割については、みなし事業年度を設けないこととする。
    3. 合併類似適格分割型分割制度を廃止する。
    4. 受取配当の益金不算入制度における負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を見直す。
      (注)上記の改正は、@ハ(ロ)、ニ及びホ(イ)並びにAハ(ホ)を除き、平成22年10月1日から適用     する。
(2) 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度

特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度について、廃止する。特殊支配同
族会社の役員給与に係る課税のあり方については、いわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、給与所得
控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、
「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講ずる。
(注)本制度は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用されないこととなる。

(3)租税特別措置等

<国税>

(廃止・縮減等)
  1. 情報基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)
  2. 中小企業等基盤強化税制について、対象から特定旅館業を営む大規模法人に係る措置を除外する。
  3. 地震防災対策用資産の特別償却制度における耐震改修工事に係る措置について、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
  4. 優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に係る措置について、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
  5. 海外投資等損失準備金制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
    1. 資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人に係る準備金積立率を90%(現行100%)に引き下げる。
    2. 資源開発事業等の対象となる資源から石炭及び木材を除外する。
(延長・拡充等)
  1. 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
  2. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する
    (所得税についても同様とする。)。
  3. 中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金の額等が1億円以下の法人による仮想化ソフトウエア等を含む情報基盤強化設備等の取得に係る措置を追加する(所得税についても同様とする。)。
  4. 試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用できる制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
  5. 交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。
  6. 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
  7. 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限を2年延長する。

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3.国際課税

(1) 外国子会社合算税制等の見直し

国外に進出する企業の事業形態の変化や諸外国における法人税等の負担水準の動向に対応する一方、租税  回避行為を一層的確に防止する観点から、内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆ  る外国子会社合算税制)等について、次の見直しを行う。

  1. 特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)を20%以下(現行25%以下)に引き下げる。
    また、トリガー税率の計算における非課税所得の範囲から除くこととされている配当等に、外国法人の所在地国の法令により、二重課税排除を目的としたものとして株式保有割合要件以外の要件により所在地国の課税標準に含まれないこととされる配当等を追加する。
  2. 外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等の直接及び間接の関係会社株式等の保有割合要件を10%以上(現行5%以上)に引き上げる。
  3. 特定外国子会社等の適用除外基準について、次の措置を講じる。
    イ 事業基準に関し、適用除外とならない「株式等の保有を主たる事業として営む法人」の判定上、統括会    社が保有する被統括会社の株式等については、「株式等」から除外する。
    ロ 非関連者基準の判定上、卸売業を主たる事業として営む統括会社が被統括会社との間で行う取引に    ついては、関連者取引に該当しないものとする。
    ハ 特定外国子会社等で所在地国基準又は非関連者基準を満たさないものが、事業基準、実体基準及び    管理支配基準を満たす場合の適用対象金額の計算において、人件費の10%相当額を
    控除する措置を廃止する。
  4. 特定外国子会社等に係る資産性所得合算課税制度の導入
    特定外国子会社等のうち適用除外基準を満たす者であっても、次に掲げる所得(以下「資産性所得」とい   う。)を有する場合には、当該資産性所得について、内国法人等の当該特定外国子会社等に対する株式   等の保有割合に応じ、内国法人等の所得に合算して課税する。
    イ 株式保有割合10%未満の株式等の配当等に係る所得又はその譲渡(取引所又は店頭における株式    等の譲渡に限る。)による所得
    ロ 債券の利子に係る所得又はその譲渡(取引所又は店頭における債券の譲渡に限る。)による所得
    ハ 工業所有権及び著作権(出版権及び著作隣接権を含む。)の提供による所得(特定外国子会社等によ     り開発されたもの等から生ずる所得を除く。)
    ニ 船舶又は航空機の貸付けによる所得
    ただし、特定外国子会社等の資産性所得の合計額が当該特定外国子会社等の税引前所得の5%相     当額以下である場合又は特定外国子会社等の資産性所得に係る収入金額の合計額が1,000万円以     下である場合には、本措置は適用しないこととする。
  5. 内国法人等が外国法人から配当等を受ける場合には、その配当等の額のうち、内国法人等の
    配当等を受ける日を含む事業年度及び当該事業年度開始の日前年以内に開始した各事業年度における  次のいずれか少ない金額に達するまでの金額は、益金の額に算入しないこととする。
    イ 当該外国法人が他の外国法人(合算対象とされた金額を有さない者を除く。)から受けた配当等の額     のうち、当該内国法人等が当該外国法人を通じて間接に有する株式等に対応する部分の金額に相当    する金額の合計額
    ロ 当該他の外国法人につき合算対象とされた金額のうち、当該内国法人等が当該外国法人を通じて間    接に有する株式等に対応する部分の金額の合計額
    (注)上記の改正は、特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。       ただし、上記Dは、内国法人の同日以後に開始する事業年度において受ける外国法人からの配        当等について適用する。
(2)移転価格税制の見直し

国際取引を行う企業の予見可能性を確保し、事務負担に配慮しつつ、税務執行の透明化・円滑化の観点から、   国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、次の見直しを行う。

  1. 移転価格課税について、独立企業間価格の算定及び検証に当たり、国外関連者との間の取引価格の交渉過程等の検討を要する場合に特に留意すべき事項等を運用において明確にする。
  2. 移転価格調査における納税者の協力が得られない場合の推定課税規定において提出又は提示を求めている書類について、その範囲を、次の区分に基づき、明確にする。
    イ 国外関連取引の内容を記載した書類
    ロ 国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類
(3) 外国税務当局との情報交換

外国税務当局との情報交換に関し、租税条約や行政取極の締結により情報交換ネットワー
クを迅速に拡充するとともに、情報提供と守秘義務の関係を整理することによって一層効率
的かつ円滑に情報交換を実施していくため、租税条約等に定めるところにより、当該租税条
約等の相手国の税務当局に対し、租税に関する情報の提供を行うことができる旨の規定を創
設する。


(4) 租税特別措置
<国税>
(延長・拡充等)
  1. 海外投資家の我が国金融・資本市場への投資の促進等の観点から、非居住者等が受ける振替社債等の利子等の非課税制度を創設する。
    イ 非居住者又は外国法人が平成25年3月31日までに発行される振替社債等(利子が支払われるものに    限り、その利子の額が振替社債等の発行者等の利益の額等に連動するものを除く。)につき支払を受け    る利子及び償還差益(償還価額と取得価額との差額)並びに外国法人が支払を受ける同日までに発行    される特定短期社債の償還差益について、所得税及び法人税を非課税とする。
    ロ 上記イの措置は、振替社債等又は特定短期社債の発行者と特殊の関係のある者が支払を受ける利     子及び償還差益については適用しないこととする。
    (注)発行者と特殊の関係のある者とは、発行者との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある者     等をいう。
    ハ 非課税措置の適用手続、振替社債等又は特定短期社債の発行者が提出すべき書類等について、所    要の措置を講じる。
    (注)上記の改正は、原則として、平成22年6月1日以後にその計算期間が開始する振替社債等の利子    及び同日以後に発行される特定短期社債の償還差益について適用する。

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【4.資産課税】

(1)住宅関連
<国税>
  1. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じる。
    1. 非課税限度額(現行500万円)を次のように引き上げる。
      1. 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
      2. 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
    2. 適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定する。
    3. 適用期限を平成23年12月31日(現行平成22年12月31日)までとする。
      (注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。ただし、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、上記の改正前の制度と選択して適用できることとする。
  2. 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長する。
(2) 租税特別措置等
<国税>
(廃止・縮減等)
  1. 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
    1. 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200uまで50%減額)を適用対象から除外する。
    2. 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定する。
    3. 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算する。
    4. 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化する。
      (注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に     係る相続税について適用する。
(3) その他
<国税>
  1. 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること等を踏まえ、次の見直しを行う。
    1. 給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とする。
      1. 解約返戻金相当額
      2. 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額
      3. オリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして各競技統括団体から交付される金品について、一定の金額(第1位:300万円、第2位: 200万円、第3位:100万円)までの部分を非課税とするとともに、租税特別措置
    2. 給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として、解約返戻金相当額とする。
      (注1)上記イの改正は、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に相続若しくは遺贈又は    贈与により取得する定期金に関する権利(当該期間内に締結した契約(確定給付企業年金等を    除く。)に係るものに限る。)及び平成23年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得    する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用する。
      (注2)上記ロの改正は、平成22年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する        定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用する。
  2. 相続税の障害者控除について、控除額の算出に用いる年数を相続人等が85歳(現行70歳)に達するまでの年数とする。
    (注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る相続税について適用する。
  3. 小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者の死亡に伴い支給を受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。
  4. 中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される従業員の死亡に伴い支給を受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。

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5.消費税

(1) 燃油課税
現行の10年間の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策の観点から、次世代型自動車(電気自動車、プラ
グインハイブリッド自動車、所定のハイブリッド車等)には本則税率を適用し(ただし、平成24年4月末ま
でのエコカー減税制度は維持)、それ以外のCO2排出量が多いガソリン車等については本則税率の2
倍の税率にするなど、環境負荷に応じた税率を設定することとし、暫定上乗せ分の国分の半分程度に相
当する規模で税負担軽減を図る。
なお、石油価格の異常な高騰時の対応については、燃料課税の措置と併せ、今後、速やかに検討する。

(2) 車体課税
現行の10年間の暫定税率は廃止する。
ただし、当分の間、現在の税率水準(100分の3。自家用の自動車で軽自動車以外のものの
取得に対して課する税率は、100分の5。)を維持する。
また、いわゆる「エコカー減税」(24年3月末まで)については、制度の仕組みを維持する。
なお、石油価格の異常な高騰時の対応については、燃料課税の措置と併せ、今後、速やかに
検討する。

(3) たばこ税
国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって税率を引き上げていく必要が
ある。その判断にあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等
を見極めつつ行うこととし、その過程で、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、
新たな枠組みの構築を目指すこととする。この方針に沿って、平成22年度において、旧3級品以外のた
ばこ1本あたり3.5円の税率の引上げ(価格上昇は5円程度)などを行う(実施時期は平成22年10月1日)。
(参考)
(現行)   (改正案)
国のたばこ税  1,000本につき   3,552円   5,302円
地方のたばこ税 1,000本につき  4,372円   6,122円
(道府県たばこ税 1,000本につき   1,074円   1,504円)
(市町村たばこ税 1,000本につき   3,298円   4,618円)
合 計    1,000本につき   7,924円  11,424円

(4) 租税特別措置
  1. 農地制度の見直しに伴う見直し
    1. 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づいて、同法に創設される農地を面的に集積する事業を実施する法人に買い取られる場合を加える。
    2. 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の適用対象に、農業経営基盤強化促進法に創設される農地を面的に集積する事業を実施する法人に農用地区域内にある賃用地等を譲渡した場合を加える。
    3. 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象から草地利用権に係る土地等が農地法の裁定により買い取られる場合を除外する。
    4. 特定農業法人が農用地区域内の特定遊休農地を取得した場合の登録免許税の軽減措置の適用期限を2年延長し、見直し後の遊休農地の規制に対応した措置を講ずることとし、また、農地保有合理化法人が農用地を取得した場合の登録免許税の適用対象に、農業経営基盤強化促進法に創設される農地を面的に集積する事業を実施する法人が農用地を取得する場合を加える等の措置を講ずる。
  2. 山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を2年延長する。
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【6.納税環境整備】

課税の適正を図り、税制への信頼を確保する観点から、国税関係の罰則について、脱税犯に係る懲役刑の上   限を5年から10年に引上げるなど、脱税犯及び秩序犯に係る法定刑の引上げ等、並びに税務職員の守秘義務   違反(秘密漏洩)に係る罰金刑の引上げ等を行うなどの措置を講ずる。

以上