TKC全国会「ビジネスドクター」としての活動

いま、TKC全国会では、次の3つを重点活動テーマとして設定し、 私たち税理士法人Dream24(ドリーム24)スタッフもビジネスドクターとして積極的な運動を展開しています。

 

重点活動テーマ

  1. 社会的使命を果たす書面添付の拡大
  2. 企業の永続的発展に役立つ経営改善支援
  3. 会員事務所の業務品質と経営効率の向上

 

1.社会的使命を果たす書面添付の拡大

TKC全国会では、会員が遵守すべき業務実践基準として、巡回監査の履行と、 その誠実な履行を通して税理士の責任(税理士法第45条)を果たしたことを書面添付によって明示し、 税理士に対する社会の期待と信頼に応えることを求めています。 私たち税理士法人Dream24も積極的に書面添付に取り組んでいます。

 

書面添付制度の意義と目的

税理士法(第2条第1項)が定める税理士の本来業務は、@税務代理、A税務書類の作成、 B税務相談であり、これらの業務は、たとえ無償であっても税理士ではない者は行ってはならないと されています(税理士法第52条)。

 

このような無償独占の権利の付与は、税理士業務の履行には高度な専門性が求められること、 ならびに税理士には公共的使命が与えられていることに基づいています。

 

また、書面添付制度とは、税理士法(第33条の2第1項)に基づき、税理士が税務申告書(税務書類) の作成に際し、「計算し、整理し、または相談に応じた事項」を明らかにし、 「申告書の適正性を表明」する書面を添付する制度です。

 

その目的は、税務申告書を作成する過程において、税理士が租税法規に従い、独立した公正な立場に おいて高度の注意義務を果たしたこと、さらに誠実義務と忠実義務(説明責任)を尽くしたことを 明らかにすることにあります。したがって、虚偽の記載をした場合は懲戒処分を受けることになります。

 

一方、税理士が書面添付を実践し、国民の義務である納税(憲法第30条)を適正に導くとともに、 職業法上求められる高度の注意義務に基づいて、委任者(納税者)に対してその責任を果たした ことを自ら立証しておくことは、会計事務所の法的防衛にもつながります。 中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増すなかで、これまでTKC会員が積極的に実践してきた、 税理士法第33条の2に定める書面添付の重要性がより一層高まってきています。

 

書面添付の3つの視点

第一の視点は、国税当局の視点です。国税職員の定員減により、税務調査の実調率が 法人・個人ともに大きく低下している現状において、税務当局には「税務執行の円滑化と簡素化」を 図るため、税理士に対する書面添付実践への期待が高まっています。

 

平成21年から実施されている「意見聴取結果についてのお知らせ」(いわゆる「調査省略通知」)は、 その期待の高さを表しているといえるでしょう。この期待に応えるためには、「書面添付」の量だけでは なく高い質の確保が欠かせません。「巡回監査」に裏打ちされ、記載内容が充実した質の高い 書面添付の実践が求められています。

 

第二の視点として、「融資審査の適正性と簡素化」が求められている金融機関等の視点です。 関与先企業への円滑な融資を実現するためにも、私たち税理士の業務に対する理解を促進する必要があります。

 

第三にお客様の視点として、税務当局や金融機関等からの決算書への社会的な信用が高まることが挙げられます。 巡回監査の過程で早くて正確な月次決算と適切な経営助言などを受け、また円滑な融資が実現していくことは 関与先企業にとっても価値のあることです。

 

TKC全国会の基本方針

TKC全国会では、会員が遵守するべき業務実践基準として、巡回監査の履行と、 その誠実な履行を通して税理士の責任(税理士法第45条)を果たしたことを書面添付によって表明し、 税理士に対する社会の期待と信頼に応えることを求めています。

 

この書面添付の実践について、『TKC全国会会則』に定めた『TKC会計人の行動基準書』において、 次のように規定しています。

 

「22.会員は、税理士法第33条の2に定める書面添付制度が、税理士の職業専門家としての信頼に 基礎を置くものであることを理解し、会員が計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を 申告書に添付することを積極的に実践しなければならない。」

 

この行動基準の特長は、添付書面に記載する内容は「申告書を作成したとき」に係るものだけでなく、 その課税所得計算の基礎となる「会計帳簿および決算書を作成するとき」に係るものを含めていることに あります。そのため、行動基準書においては、次の規定を設けています。

 

「23.会員は、巡回監査を忠実に実施することが、申告書の基礎となる課税所得及び消費税の課税取引の 正確さを保証する条件となることを理解し、添付書面の信頼性を確保するために巡回監査基準を遵守して、 巡回監査を履行しなければならない。」

 

このように私たちが実践する書面添付は、毎月、関与先企業に出向いて行う巡回監査を前提とし、 さらに決算事務および申告書作成までのすべての業務プロセスにわたって、計算し、整理し、 または相談に応じた事項を記載することになっています。 税理士法人Dream24でも巡回監査を強力に推し進め、翌月巡回監査率は常に95%を超えています。

 

すべては巡回監査から始まる

私たちが実践する巡回監査については、『TKC全国会会則』のもとに定めた、 『TKC会計人の行動基準書』において次のように規定しています。

 

「巡回監査とは、関与先企業等を毎月及び期末決算時に巡回し、会計資料並びに会計記録の適法性、 正確性及び適時性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、完全網羅性を確かめ、かつ指導する ことである。巡回監査においては、経営方針の健全性の吟味に努めるものとする。 巡回監査は、毎月行う月次巡回監査と期末決算時に行う決算巡回監査とに分けられる。」

 

ここでは、決算において貸借対照表および損益計算書を作成する基礎となる会計記録および 原始証憑等の正確性を担保するために実施する月次の巡回監査について規定しています。

 

巡回監査は、関与先企業が適時に起票した会計伝票等に仕訳および摘要が適正かつ明瞭に 記載されており、その他の記載事項についても適正であることを確認して、税理士法が求める 「相当注意義務」(第45条)を完全に履行することを目的として実施するもので、 このためのツールとして「巡回監査支援システム」を利用しています。

 

また、巡回監査はこのような会計と税務に関連する目的にとどまらず、関与先企業における 経営方針の健全性を吟味するため、企業経営者との面談を必須の条件としており、 そのためのツールとして「継続MASシステム(経営計画・予算作成システム)」や「戦略財務情報システム(会計システム)(FX2)」等を利用しています。

 

会計記帳の適時性を証明する「記帳適時性証明書

平成18年に施行された改正商法および会社法において、「適時に、正確な会計帳簿の作成」が明文化され、 私たちが長年実施してきた巡回監査の重要度が増しています。

 

そこで、TKC会員は、巡回監査の実践を客観的に証明する書面として、 「会計帳簿作成の適時性(会社法第432条)と電子申告に関する証明書(記帳適時性証明書)」を 関与先企業へ提供しています。

 

この記帳適時性証明書は、関与先企業の円滑な資金調達を支援するため、当該企業の会計帳簿 および決算書、法人税申告書の作成に関して、

 

  1. 会計帳簿が会社法第432条に基づき、適時に作成されていること、
  2. TKC会員が毎月、企業を訪問して巡回監査を実施し、月次決算を完了していること、
  3. 決算書は会計帳簿の勘定科目残高と完全に一致しており、別途に作成したものではないこと、
  4. 法人税申告書が決算書に基づいて作成され、申告期限までに電子申告されていること

を証明するものです。

 

これは、過去の会計データの遡及処理(追加・修正・削除)を行うことができないという TKC財務会計システムの特長を活かして発行されるもので、第三者である株式会社TKCが、 会計帳簿と決算書、法人税申告書の作成に関する適時性と計算の正確性を証明するところに意義があります。

 

いま、全国の金融機関においては、月次巡回監査を実践し、その信頼性を「記帳適時性証明書」によって 証明することのできるTKC会員への期待感が高まっています。

 

2.企業の永続的発展に役立つ経営改善支援

企業の健全なる発展を実現するためには、「適正申告」を実現しつつ、「資金調達」や「黒字決算」、 円滑な「経営承継」の実現に向けた支援が必要です。 いま、私たちには、時代の大きな変化に対応した新しい会計事務所づくりが求められています。

 

減り続ける黒字企業割合

TKC全国会では、昭和50年から『TKC経営指標(BAST:Business Analyses and Statistics by TKC)』 を毎年発行しています。 平成22年版においては、平成20年決算と平成21年決算の二期比較が可能な22万4,595法人について財務分析をしています。

この分析によると、平成21年における22万4,595法人の売上高総額は45兆3,202億円と、 前年(49兆1,473億円)に比べ、業績が悪化しました。

 

また、平成16年以降、低下傾向にあった黒字企業割合も、急激な景気後退を受けて、 すべての産業で大きく落ち込んでいます。これを業種別に見ると、特に製造業の業績悪化が顕著で、 平成20年に比べて売上高、限界利益、経常利益と、いずれも全産業中で最大の落ち込みを示しており、 黒字企業割合は、平成20年の49.3%から33.7%(15.6ポイント減)と著しく低下しています。

 

政府等における中小企業支援

このような中小企業の厳しい経営環境を踏まえ、政府は、「安心実現緊急総合対策」(平成20年8月)、 「生活対策」(同10月)、「経済危機対策」(平成21年4月)等の施策を実施してきました。

 

また、平成21年5月29日に平成21年度の補正予算を成立させ、中小企業の資金繰り支援策として、 各地の信用保証協会による緊急保証制度の保証枠や日本政策金融公庫殿や商工組合中央金庫殿による 「セーフティネット貸付」の融資枠の増加等を盛り込んだ経済対策へ取り組みました。

 

さらに、平成21年11月には、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」 (中小企業金融円滑化法)を成立させています。この法律は、金融機関の努力義務として、 借り手から申し込みがあった場合には、できる限り貸付条件変更等の適切な措置をとるとともに、 その実施状況を金融庁に報告することを求めたものです。

 

この法律の施行に合わせて、金融庁殿の検査官が金融機関を検査する際の手引書として作成されている 『金融検査マニュアル』や「監督指針」も改訂され、債務者が中小企業であれば、 1年以内に「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)」(経営改善計画)の策定をする 見込みがある場合の貸付条件変更が認められています。加えて金融機関に対しては、 単に資金供給を行うだけでなく、適切な経営相談・経営指導等のコンサルティング機能の 充分な発揮が期待されています。

 

資金繰り改善支援

そうしたなか、私たち税理士法人Dream24(ドリーム24)でも、関与先企業の生き残りのため「緊急融資保証制度」や「中小企業金融円滑化法」 などの情報を収集し、その施策を正しく理解して関与先企業に提供するとともに、 企業経営者とともに対策を打って参りました。

 

また、中小企業金融円滑化法の施行により、TKC全国会では地域の金融機関との相互理解と密接な連携のもと、 経営改善を実現するための関与先の「実現性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)」(経営改善計画)の 策定を支援するとともに、毎月の巡回監査を通じて、財政状態や経営成績を把握し、 計画の進捗状況に応じた対策検討の支援を行っています。

 

経営改善計画支援システム

TKC全国会会員は平成22年10月の「経営改善計画支援システム」のリリースを受けて、関与先以外の企業の 経営改善計画書策定支援ができるようになりました。

 

平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法により、実現可能性の高い抜本的な「経営改善計画(実抜計画)」を 作成することを前提として金融機関からの返済条件緩和が認められた中小企業は、平成22年3月末現在で368,000件 (10兆2,286億円)に達したようですが、そのうちの大半は、いまだに「経営改善計画(実抜計画)」を策定(提出) していないようです。

 

金融機関では実抜計画の作成支援をできる行員が限られているため、このままだと平成23年3月に 不良債権の増加が必至と思われます。

 

そこで、税理士法人Dream24(ドリーム24)では、セカンドオピニオン税理士として企業の経営改善計画書の作成を支援し、 より多くの企業が金融機関からの信用力を高められるよう受け入れ体制を整えています。

 

経営改善支援

企業の経営改善を実現するためには、

  1. 迅速な経営情報の把握、
  2. 経営者の計数管理能力の向上、
  3. 商品/市場戦略と業績管理の成果の検証、
  4. 企業のPDCAサイクルの構築

が欠かせません。

 

私たちは、こうした業績管理体制の構築に「戦略財務情報システム(会計システム)(FX2)」と「継続MASシステム(経営計画・予算作成システム)」の活用をお薦めしています。

 

現状を正確に把握するために

会計記帳は商法(会社法)上の義務であるため、その作成を欠かすことはできません。 しかし、商法の会計帳簿と計算書類をそのまま企業の経営管理に役立てるには、難しい面が少なからずあるといえるでしょう。

 

私たちは、商法が定める記帳義務を正しく履行しながら、これを経営の意思決定に役立つ会計情報として 活用するためのツールとして「戦略財務情報システム(会計システム)(FX2)」の活用をお薦めしています。

 

FX2は、経営者が全社と部門別の採算性を迅速・正確に把握し、問題点を発見し、 業績を改善するためにどんな打ち手が必要なのかの気づきを与えることで、黒字決算の実現に貢献しています。

 

優良企業とのベンチマーキング

また、業績管理をより有効に活用するためには経営改善計画の策定が必要です。先の見えない時代だからこそ、 経営者のビジョンを明確化し、「いま、何をすべきか」を明らかにする経営改善計画を“モノサシ”として活用し、 数値計画などを詳細にした短期経営計画へ落とし込み、予算化することが重要となります。

 

私たちは、関与先企業の継続的な黒字決算の実現を願って「継続MASシステム(経営計画・予算作成システム)」を利用し、 強い財務体質を作るための“実抜計画”たる「経営改善計画」の策定を支援しています。

 

この「継続MASシステム」は、財務時系列データベースと連動しています。 そこから関与先企業の過去データだけでなく、『TKC経営指標』に収録された同業種同規模の優良企業の業績データを ダウンロードし、比較検討できるので、自社の「強み」と「弱み」とを客観的に検証することができます。

 

さらに、経営改善計画の実現には、経営現場の「P(計画)・D(実行)・C(検証)・A(対策)」サイクルの定着が重要です。

 

私たちは、策定した計画を「絵に描いた餅」にしないため、毎月の巡回監査に基づき、 「経営改善計画」の実行段階における業績改善のための打ち手を検討する業績検討会の開催を支援しています。 四半期に一度の業績検討会は、まさに、経営者にとって一番身近で親身な相談相手である税理士事務所の真価が問われる場面となります。

 

3.会員事務所の業務品質と経営効率の向上

私たちが、関与先企業の健全な発展を支援するためには、研修制度の充実、IT環境の充実などを通じて、 私たち自身の業務品質を高める必要があります。

 

TKCシステムの徹底活用

重点活動テーマの「社会的使命を果たす書面添付の拡大」と「企業の永続的発展に役立つ経営改善支援」を 継続的に実施するためには、「会計事務所の業務品質と経営効率の向上」の実現が不可欠です。

 

業務品質の向上のためには、「コストと時間の追加」が必要です。一方、経営効率を向上させるためには 「コストと時間の削減」が必要となります。

 

私たちは、この二律背反する課題を「TKCシステムの徹底活用」と「所長、職員の錬成」により 解決していこうと考えています。

 

TKCシステムは、TKC全国会システム委員会のもとで、それぞれの専門業務に精通した委員の指導により 開発されています。 こうした、TKC会員の豊富な経験と卓越した専門家のノウハウを組み込んだTKCシステムを徹底して活用することは、 業務品質と生産性の向上を同時に実現します。

 

研修による所長・職員の錬成

税理士がその公共的使命を正しく実践するためには、「自利利他」の精神を養い、専門家としての能力を錬磨するとともに、 事務所の総合力をさらに高めることが重要です。このためTKC全国会の諸活動のなかで、研修活動は最も重要な位置を 占めてきました。

 

TKC全国会では、『TKC会計人の行動基準書』において、 「会員は、関与先企業等の永続的な繁栄を願い、業務の完璧な履行を決意して、生涯を通じて不断に高度な専門能力の 錬磨に努めなくてはならない」と規定し、生涯研修(初年度90時間、次年度54時間)への参加を求めています。 これは、TKC会員が専門能力を充分に獲得し蓄積するとともに、TKC会計人としての職業倫理を堅持するために 最も重要な研修と位置づけられています。

 

TKC全国会中央研修所では、会計事務所の所長や職員が習得すべき知識体系を整理し、 TKC会員が受講する生涯研修についての研修カテゴリーを明確にしています。 私たちは、関与先企業が生き残り、継続的な黒字決算と適正申告を実現するためにも、これらの知識を巡回監査の実践と TKCシステム活用の場面で活かしていかなければなりません。

 

(参考:TKC全国会ホームページ

 

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